明日、ヤンキースでのラストゲームを迎えるAロッド。彼は2003年オフにヤンキースに移籍し、その後様々な事件を起こしましたが、歴史に残る名選手であるのは間違いないでしょう。しかし、皆さんは知っているだろうか?ヤンキースへ移籍した2003年オフ、実はその前にレッドソックスへのトレードが合意間近であったことを。。もし、Aロッドがレッドソックスへ移籍していたら。。。考えただけで興奮しますが、ここでその2003年オフ、なぜレッドソックスへの移籍が幻となったのか、そしてその後ヤンキースへと電撃移籍したのか、振り返ってみよう。
レンジャーズ、Aロッド加入後3年連続最下位
明日、ヤンキースでのラストゲームを迎えるAロッド。彼は2003年オフにヤンキースに移籍し、その後様々な事件を起こしましたが、歴史に残る名選手であるのは間違いないでしょう。しかし、皆さんは知っているだろうか?ヤンキースへ移籍した2003年オフ、実はその前にレッドソックスへのトレードが合意間近であったことを。。もし、Aロッドがレッドソックスへ移籍していたら。。。考えただけで興奮しますが、ここでその2003年オフ、なぜレッドソックスへの移籍が幻となったのか、そしてその後ヤンキースへと電撃移籍したのか、振り返ってみよう。
時は遡って3年前、2000年オフ。当時マリナーズからFAとなった25歳のAロッドがレンジャーズと当時のスポーツ選手契約史上最高額の10年$252ミリオンで契約した。当時のMLBの最高額契約がその前年にレッズと契約したグリフィーの9年$116.5ミリオンなので、いかにAロッドの契約が天文学的な数字であったことが分かる。Aロッドはレンジャーズでの三年間大活躍をし、特に2003年には史上二人目の最下位チームからのMVPを受賞した。(その成績は下記参照)
しかし、Aロッド加入後の2001~2003年、レンジャーズは3年連続地区最下位に終わる。原因は全選手の年俸総額の25~30%がAロッドの契約で占めているため、アンバランスな戦力となってしまっていたため、2003年オフレンジャーズはAロッドの放出を検討し始める。さらに、Aロッドもレンジャーズに「優勝を狙えるチームでプレーしたい。」と直訴。ただ、Aロッドの契約を負担できるチームなど2チームしかないことは明白だった。それはもちろん、ヤンキースとレッドソックスである。
レッドソックス、ヤンキースの大型補強の大号令
2003年ALCSでヤンキースとレッドソックスは対戦した。誰もが知る通り、そのシリーズは世紀の名勝負となり、最終的には第7戦アーロン・ブーンの劇的なサヨナラホームランにより、ヤンキースが4-3でワールドシリーズ進出を決めた。またしてもバンビーノの呪いを解くことができなかったレッドソックスはオフに打倒ヤンキースを掲げ、大型補強を行おうとしていた。一方のヤンキースもその後、ワールドシリーズでマーリンズに敗れ世界一を逃し、スタインブレナーオーナーがキャッシュマンGMにさらなる戦力補強を命令した。今オフの目玉カート・シリングを両チームで争奪戦を繰り広げ、レッドソックスが獲得した。そんな中、レンジャーズがヤンキース、レッドソックスにAロッドのトレードを打診する。
手を引くヤンキース、乗り気のレッドソックス
ヤンキースは当時、ショートにはチームの顔のスーパースター・ジーター、サードにはレッドソックスを倒す劇的なホームランを放ったブーンがおり、Aロッドを獲得することを断念した。一方、レッドソックスは当時、ショートにはこれまたスーパースター・ガルシアパーラがいた。だが、当時残り一年となった契約の再契約交渉が難航していたガルシアパーラを放出し、Aロッドを獲得するとんでもない方針を打ち出した。ライバルであるレッドソックスが獲得に乗り出し、いつもなら邪魔をするヤンキースだが、今回は選手としてはAロッドに劣るものの、ジーターを放出することなど不可能であり、ただ指をくわえて眺めるしかなかった。
Aロッド ー ラミレス、レスターの仰天トレード案
レッドソックスはAロッドの交換相手としてチームの4番でリーグを代表する好打者マニー・ラミレス、そして当時若手有望株で後にレッドソックスのエースとなる当時19歳のジョン・レスターを提示した。ラミレスは言わずもしれたレッドソックスの主砲であったが、守備走塁に難があり、また試合をずる休みするなどの素行の悪さにレッドソックスは頭を悩ませていた。さらに、ガルシアパーラとのトレードでホワイトソックスの主砲マグリオ・オルドネスと当時若手有望株だったブランドン・マッカーシーを獲得するトレード案を打診していた。つまり、
獲得:
アレックス・ロドリゲス(298-47-117-396-996)
マグリオ・オルドネス(317-29-99-380-926)
ブランドン・マッカーシー
放出:
マニー・ラミレス(325-37-104-427-1014)
ノマー・ガルシアパーラ(301-28-105-345-870)
ジョン・レスター
という方針である。
そして、もしレッドソックスがこのトレードに成功すれば以下のようなとんでもないラインナップとなっていた。
8 デーモン AVG273-HR12-RBI67-SB30-OBP345-OPS750
5 ミュラー AVG326-HR19-RBI85-OBP398-OPS938
6 ロドリゲス AVG298-HR47-RBI117-SB18-OBP396-OPS996
7 オルドネス AVG317-HR29-RBI99-OBP380-OPS926
D オルティーズ AVG288-HR31-RBI101-OBP369-OPS961
3 ミラー AVG276-HR25-RBI96-OBP348-OPS820
9 ニクソン AVG306-HR28-RBI87-OBP396-OPS975
2 バリテック AVG273-HR25-RBI85-OBP351-OPS863
4 ベルホーン AVG221-HR2-RBI26-OBP353-OPS646(翌年、17本塁打、82打点の活躍)
P シリング、ペドロ・マルティネス
Aロッド大型契約の処理
一見、ヤンキースを並ぶ金持ち球団に見られるレッドソックスであるが、ヤンキースに比べ規模ははるかに小さく、2003年当時も年俸総額でヤンキースに大きく離されていた(ヤンキース:$180,322,403 vs レッドソックス:$104,873,607)。Aロッドの残り7年$179ミリオンの契約を払うことはレッドソックスには難しかったため、レッドソックスは減俸を含めた契約の見直しをAロッドに申請。Aロッドも優勝争いができるレッドソックスに移籍を希望していたため、それを快諾。コミッショナーのバド・セリグはレッドソックスとAロッドに契約変更の合意のために72時間のタイムリミットを設けた。直後、NYで極秘面会をしたレッドソックスとAロッドは二日目に年俸の減俸を含む契約見直し案に合意し、MLB選手会へ承認を求めた。この時点でAロッドのレッドソックスへの移籍が現実味を帯びてくる。
MLB選手会、Aロッドの契約見直し案を認めず
ところが、ここでレッドソックスにとって大誤算が待っていた。12/17、MLB選手会は契約見直し案を却下したのである。理由はもし、今回のケースを認めてしまうと、他にも同様に多くの選手が契約途中に減俸して、強豪チームへ移籍するというパターンが増えることをなくすためであった。これにより、Aロッドのレッドソックスへの大型トレード案は頓挫してしまい、レッドソックスは獲得を断念することとなる。
ブーン、バスケットボール中に膝を負傷
1/16、ここで神様が運命のいたずらをする。ヤンキースのサード・ブーンがバスケットボールをプレー中に膝を負傷し、今季絶望となってしまった(これは、契約違反であり、ヤンキースは即刻ブーンを解雇した)。キャッシュマンGMは新たな三塁手を探さなければいけなくなり、そこである一人の選手の獲得を目指す方針を打ち出す。もちろんアレックス・ロドリゲスだ。
Aロッド、ヤンキースへ移籍
1/25、ヤンキースはAロッドと交渉を行い、Aロッドはサードへのコンバートを快諾する。その後、ヤンキースGMキャッシュマンはレンジャーズGMハートと交渉をスタート。ヤンキースは2年連続30-30を達成したセカンド、ソリアーノ(AVG290-HR38-RBI91-SB35-OBP338-OPS863)を放出することで合意。さらに、レンジャーズはヤンキースが送った5、6人の有望株の内野手のリストの中からホアキン・アリナスを指名。なお、このリストの中には後にスターとなるロビンソン・カノーが入っていたというからも面白い。さらに、Aロッドの契約の残り$179ミリオンのうち$112ミリオンをヤンキースが、残りの金額はレンジャーズが負担することで、ついにAロッドのヤンキースへのトレードが決まったのである。
もし、レッドソックスにAロッドが入団していたら。。。もし、ブーンが怪我をしていなかったら。。。全く想像できないことである。ただ、皮肉にも翌2004年、再びALCSで激突した両チームだったが、レッドソックスが3連敗から4連勝と劇的にヤンキースを倒し、そのまま86年ぶりのワールドシリーズ制覇をするのだった。Aロッドもヤンキース在籍13年間で世界一わずか一回、さらにステロイド問題などで完全な悪役となってしまった。もし、Aロッドがヤンキースではなく、レッドソックスに入団していたら、もしかしたら運命は大きく変わっていたのかもしれない。
ちなみ、こちらはESPNで放送されたドキュメンタリーです。英語が分かる人は是非!
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